人間に生まれてきて良かった

先月生まれて初めて人形浄瑠璃を見ました。
わたしは、古典芸能は難しくてわからないと
思い込んでいて、あまり見たいとは
思っていなかったのですが、演目の中に
「大黒屋光太夫ロシア漂流記」という
オリジナル作品が入っていたので、
興味を持ちました。場所も札幌市
こども劇場やまびこ座だったので、
多分子ども向けのわかりやすいもの
だろうと想像して行きました。

当日、劇場は満席。折りたたみ椅子を使ったり、
階段に座布団を敷いて観るぐらい盛況だったのですが、
想像に反して子どもたちはほとんどいませんでした。
わたしの年齢(63歳)が真ん中ぐらいかと思うほど、
高齢な人たちが多くて、ちょっとびっくりしました。

3人で人形遣いをするのですが、それがとても巧みで
息がピッタリ合っていて、練習の成果もあるのでしょうが、
お互いの信頼関係がわかる、素晴らしい舞台でした。

ここで、わたしが何で「大黒屋光太夫」を知ったか、
書きたいと思います。

去年の6月に、東ヨーロッパに一人で旅をしました。
その時お供に文庫本「漂流」を持参しました。
これは江戸時代にシケに合って漂流し、
無人島に流されて13年間そこで暮らし、
食物調達の困難さや、一緒に流れ着いた
自分の仲間が死んで行く経験をしながらも、
その孤独に打ち勝ち、諦めずに自分の故郷に
帰ることができた一人の漁師の
実際にあった話を書いたものです。

わたしは、たかだか13日の一人旅だったし、
周りにはたくさんの人間がいました。
でも、知らない土地で、知らない人ばかりの中で
孤独を感じた時にこの本を読むと、
知らないはずの周りの人間が、
同じ人間なんだというだけで、
自分がとても恵まれている環境に
いることをしみじみ感じました。
言葉が通じなかったり、ちょっと
冷たい対応を受けても、そこに人間を
感じるだけで、感謝の気持ちが湧くのです。

その上、わたしは帰りの航空券まで持っているのです。
ヨーロッパには難民がいて、自分の故郷に
帰りたくても帰れない人がたくさん住んでいます。
帰りの切符を持っているという、わたしにとっては
当たり前なことが本当に嬉しくて、
孤独感に浸ることが全くなくのんびりと一人旅ができました。

で、次に「漂流」を書いた作家吉村昭の
「大黒屋光太夫」を読んでみました。
この本も漂流ものの一つです。
すごいのは漂流した後にロシア領の島に流れ着くのですが、
その後日本に帰国する願い届けを出すために
極寒のシベリア大陸を縦断し、
ついにその願いを果たして10年後に
奇跡的に日本帰国を果たしたということです。
人間、目標を設定して諦めずにそれに向かったら
必ず実現できると、身をもって実行した
大黒屋光太夫のこれも実際にあった話です。

今年は、札幌はすごく寒い日が何日もあったので、
その度に北海道にもともと住んでいたアイヌの人たちや、
開拓に入った人たちのことを想像し、
それに加えて今年は大黒屋光太夫のことを
思い出すことも何回かありました。
そんなことが、今回の人形浄瑠璃鑑賞に繋がりました。
劇場で周りの人を見ながら、人間って何歳になっても、
芸術を追い求めて感動したい生き物なんだなぁと
つくづく感じて、わたしもそんな人間の
一人として生まれてきて幸せだなぁって思いました。

わこ        
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